まりもっこり日和

本・漫画・映画のレビューと日々のつれづれ。

思春期の自分に伝えたいこと。

僕が思春期の自分に何かアドバイスできるなら、(中略)人生は短いという事実を伝えたい。

ーー東田直樹『自閉症のうた』KADOKAWA, 2017年 P.13

自閉症のうた

重度の自閉症でありながら、PCや文字盤ポインティングでコミュニケーションを取り、執筆活動や講演活動を行う東田直樹さんの著書。

理解されにくい自閉症者の内面を平易な言葉で伝え、注目を浴びる東田さん。本作には、自閉症の息子を持つ翻訳者 デイヴィッド・ミッチェル氏を訪ねるアイルランド旅行記、二人の対話(Q&Aと往復書簡)、短編小説『自閉症のうた』が収録されています。

 

昔の自分を重ね合わせて

ミッチェル氏に対面した東田さん、会話の話題は、ミッチェル氏の自閉症の息子に関することが多くを占めていたという。

頑張っている息子さんの姿は、昔の僕そのものだ。僕は毎日が苦しくて、苦しくてどうしようもなかった。

ーーP.12 L.6-7より引用

ミッチェル氏の自閉症の息子さんに、昔の自分を重ね合わせる東田さん。昔の自分にアドバイスをするとしたら「人生は短いという事実を伝えたい」と話す。

人の一生は、自分が想像しているような永遠のものではないことがわかれば、生きていく覚悟ができるに違いない。

まだまだ子供で自分のことしか考えていなかった頃、僕は将来の夢を思い描くこともできなかった。過ぎ行く時の経過は果てしなく、いつまでも降りられないブランコに乗っているみたいだった。

君が乗っているブランコもいつかは止まる。それまで一所懸命にこぎ続ければ、同じ景色も違って見えると僕は教えてあげたい。

ーーP.13 L.11-P.14 L.3より引用 

 

今、この瞬間を生きる。

東田さんの覚悟や真摯な姿勢が詰まった1冊です。 

変えられない過去への後悔や見えない将来への不安に囚われる前に、まずは、今この瞬間を、精一杯生きること。

表現活動を続ける東田さんの姿勢に、今を生きる覚悟を学びました。