まりもっこり日和

本・漫画・映画のレビューと日々のつれづれ。

観察が、自分を守ってくれる。

「観察映画」の観察記録。

観察する男 映画を一本撮るときに、 監督が考えること

ドキュメンタリー映画作家・想田和弘氏の著書。

被写体や題材に関する事前リサーチは行わない、台本は書かない…「観察映画」という独自の手法でドキュメンタリー映画を撮る想田氏に編集者が密着、新作『牡蠣工場』の制作過程を綴った本です。

まさに、「観察映画」を観察した1冊。

 

観察映画の十戒

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被写体や題材に関する事前リサーチは行わない、打ち合わせはなし……。想田氏は、観察映画の十戒と称して、映画制作のマイルールを定めている。

これ(観察映画の十戒)を明記しているおかげで、原点に戻れるんですよ。これがないと、簡単に雑念にやられて、(中略)よくやられている発想というものに引き戻されてしまう。(中略)

自分にとって大事なことをルールにしておくと、立ち返りやすいです。

ーーー同書 P.128 L.11-P.129 L.1より引用

 

観察は防御。

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政治や経済、社会問題……怒りに満ちた社会を生きる中で、自分の怒りを観察する、と想田氏は語る。

雑念や欲望や怒りに身を焦がしてしまうと、自分を破壊していくと思うんです。だからやっぱり(※観察は)防御手段なんだと思います。(中略)観察が自分を守ってくれる。

ーーー同書 P.130 L.4-P.131 L.1より引用

 

自分の雑念や欲望から、自分の作品を守るために、観察映画の十戒を定める。

自分の怒りから自分自身を守るために、怒る己を観察する。

徹底した観察の視線を貫く想田氏の映画には、何が映っているのか。

想田氏の作品を観てみたいなぁと思わせる1冊でした。